編集:すっかり暖かくなりましたが、今回は都内の桜の満開を狙ったロケと聞いています。 桜と美少女のコラボレーション。これは鉄板、定番のシチュエーションですね!

野下:そうですね。定番、、と言いたいところなんですが、実は今回の桜、あえて「夜桜」をメインのシーズンモチーフとして作品イメージを膨らませました。

編集:え?桜は桜でもあえて夜桜、ですか。それはなぜでしょう?

野下:今回のモデルさん、香月杏珠ちゃんという子なんですが、彼女を知れば知るほど、そして事務所のマネージャーさんや関係者から聞くにつけ、

どうも「桜×美少女」という単純なコラボレーションでは彼女の魅力を最大限に見(魅)せることができないのではないか、そう思ったからです。

編集:どんなモデルさんだったのでしょうか?興味があります。

野下:とても素直でいかにも業界の子、しっかりとしたプロ意識のある可愛らしいモデルさんです。 でもそう言ってしまうととてもなにかこう、平凡になってしまいますね(笑)。 でも杏珠ちゃんのファンの方、撮影会やサイン会で彼女と会った方ならわかると思うのですが、彼女の素直さというのはどこかに少し「弱々しさ」というか「ボクたちが応援してあげないと・・・」と思わせる独特なオーラがあるんです。 オーラというと普通はとても輝かしくて強くて、そんなイメージだと思うのですが、彼女のオーラというのはその逆。 なにか月の光のように、自ら発光しているのではなく、静的でちょっと神秘的なんですね。

編集:神秘的、ですか。

野下:撮影全般を通して感じた事ですが、杏珠ちゃんはこちらが照らしてあげればとても美しい静的な光で返してくれる。 静的、という意味では絵画的とも言え、動的な写真を撮るのではなく一枚の絵を描くように写真を撮りたくなる。そんなモデルさんなんだと思いました。 この年代のモデルさんには動的な魅力を持ったモデルさんはとてもたくさんいます。 今までこの連載に登場していただいたモデルさん達も基本的には動的で太陽のように自ら明るく元気に光を放っているタイプの子が多かった。 でも杏珠ちゃんはそういうタイプのモデルさんとは違う。むしろ真逆とも言えます。

編集:中学生にしてその域。とても個性的なモデルさんですね。

野下:そうですね。とても良いモデルさんですね。 冒頭に「素直なモデルさん」と言いましたが、こちら撮り手のイメージにすんなりと溶け込んでくれる、そういう意味で素直なモデルさん。 性格的なことでももちろん素直な子だとは思いますが、この場合の素直と言うのは、どんなシーンでも素直に撮り手のイメージにはまり込んでくれるという意味での素直、なんです。 本当に良いモデルさんだと感じましたね。

編集:ではそんな杏珠さんを、どんなシチュエーションで撮影したのでしょうか?

野下:メインは夜桜。そう決めていましたが、せっかくなので都内の有名な桜スポットをまわり、桜のいろんな表情を追いかけました。
この日は「春の嵐」と呼ぶにふさわしく、とても風が強い日でした。 そもそもありきたりの桜を撮るつもりはなかったので、かえってこの強風は願ってもない千載一遇のチャンスでした!桜吹雪。
桜の花びらが風紋のように舞い踊るその風景に溶け込む杏珠ちゃんの長い長い乱れた髪の毛。心がざわめき、不安を掻き立てられるような不穏な写真が撮れたシーンがたくさんありました。

目黒川や多摩川と言った有名スポットでもこの風はやむことなく、桜にとっては非情なこの嵐も、夜桜へと続く露払いのようですらありました。 余談ですがこの撮影の翌日は皆既月食だったんです。 春の嵐、そして皆既月食。 神秘的な杏珠ちゃんが呼び寄せた、偶然とは思えない象徴的なストーリです。

編集:面白いエピソードですね。一般的な桜のイメージからは遠いように思えますが、だからこそモデルの杏珠ちゃんとのマッチングの妙がある。納得です。

野下:昼間の撮影はメインで考えていた夜桜からするとサブのような撮影を想定していましたが、杏珠ちゃんが呼び寄せた不思議な春の嵐のおかげで、一般的な華やかな桜の印象とは違う面白い写真がたくん撮れました。 こういう偶然があるからロケというのは本当に面白い。 想定や予想を超えた一発勝負、アドリブのような醍醐味。 そういえば桜の花びらと椿の花びらが一面に散っているなんてシチュエーションにも遭遇しました。 人々が満開の春に浮かれるすぐ脇に冬の名残がひっそりと散っている。その様子に杏珠ちゃんがすっかりオーバーラップしてしまいました。

編集:そうですか。なにかとても不思議な魅力を持っているモデルさん、それが杏珠さんなんですね。

野下:夜桜を撮影したのは桜祭りで大いに賑わう都内の名所だったのですが、そこで撮影していてもとにかく彼女の長い髪と愛らしい顔は人目を惹くようで、すれ違う人たちがそれこそみんな振り返る。 何度かサラリーマンの方、しかも年齢もまちまちな方たちから声をかけられていました。(笑)
そんな浮かれた大人たちの花見の宴会。辺り一帯にただよううどこか浮かれた空気。 そしてその華やいだ空気からどこかとても浮いた存在の杏珠ちゃん。 今回の夜桜シーンでは「桜×美少女」を、そんな対比で絵画のように描けた満足のいく撮影ができました。 杏珠ちゃんをキャスティングして本当によかったと思っています。

編集:そうですか。満足のいく撮影というのは本当にすばらしいものですよね。ところで野下さんは過去に杏珠さんを撮影したことはあったのでしょうか?

野下:そうですね。昨年の冬にも撮影しています。今までに3回ほど撮影しました。

編集:今回、何か変化や成長や旬を感じましたか?

野下:過去2回撮影した時の杏珠ちゃんは今回より精神的にきっとずっと幼かった。 でも今回の撮影ではとても彼女の精神的な成長を感じました。 とは言えは彼女はまだ中学2年生になったばかり。 まだ杏珠ちゃんは自分の魅力をしっかりと理解できていないように感じます。 同世代の子達とは少し違う静的でちょっと影のあるか弱い美しさ。 そんな個性を自覚できた時、彼女はモデルとしてまた一歩成長するんだろうなと思って楽しみにしています。 そんな目で見ると杏珠ちゃんはまさに今、旬がはじまったタイミングなんじゃないでしょうか。

編集:旬のはじまり。まるで初春のようで、先ほどの季節のお話と重なりますね。

編集:今回はモデルさんの話がメインとなりましたが、「旬感・少女美」も残すところ撮影も1回となりました。
次回がいよいよ最後のロケとなりますが、予告などはありますか?

野下:「少女美」。少女という季節の一瞬の煌めきや愛らしさを写真に収めようとした今回の企画ですが、 それはある意味性別を超越した精神世界を垣間見る旅であったように思います。 時に男の子のような無邪気さや奔放さを持つ子がいる一方で、そういう無邪気な子がふとした拍子に見せる女性の原型のようなおおらかさや優しさや美しさ。 季節の境目のようにも見えるそんな曖昧さこそが「少女美」の本質なのではないか?
次回はいよいよ最終回。まさに最終回にふさわしい素敵なモデルさんをキャスティングしました。
お楽しみに!!

編集:楽しみにしています!今回もお疲れ様でした!!